センター試験解説シリーズ 平成30年 情報関係基礎 解説
受験者数 | 平均点 | 最高点 | 最低点 | 標準偏差 |
487 | 59.35 | 100 | 15 | 18.52 |
大問ごとにページを分けています。
第1問(必答)
問1
a パソコン購入後の親子の会話
ア : ①アップデート
イ : ③セキュリティホール
ウ : ⑤踏み台
ソフトウェアには脆弱性(不具合や設計上のミスによるセキュリティ上の弱点)が存在します。※脆弱性=セキュリティホールとも言う
いわゆるコンピュータウイルスはこうしたセキュリティ上の弱点を利用して、悪さをします。ソフトウェアを発表してから、時間が経てば経つほど新たな脆弱性が発見されます。そのため、ソフトウェアの作成者は脆弱性が見つかり次第、対策として修正プログラムを作成し配布します。
ユーザーは、作成者が配布する修正プログラムを用いて定期的にアップデート(更新)することで、ウイルス等からコンピュータを守る必要があります。
定期的なアップデートを怠ると、自身がウイルス感染する可能性があるだけでなく、他のコンピュータへ攻撃をする中継点(踏み台)とされる可能性があります。
なぜそんな回りくどいことをするかというと、悪意あるプログラムの配布元を分かりづらくする狙いがあります。
踏み台となってしまうと、気づかぬうちに大量のスパムメールを送信するのに使われたり、ウイルスの配布を手伝わされたりしてしまいます。
知らぬうちに自分のパソコンが犯罪に使われる可能性もあるのです。恐ろしいですよね。面倒でも、定期的なアップデートを心がけましょう。
b アドレス表記
エ : ①IPアドレス
オ : 6
IPアドレスとは、ネットワーク上の機器を判別するための住所のようなものです。
Windowsではコマンドプロンプトでipconfig、macではターミナルでifconfigと入力することで確認できます。
「192.168.0.6」のように10進数で表記されます。これはIPv4アドレスと呼ばれるものです。IPv4とIPv6、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスなどの説明は今回は割愛します。
今回の問題は10進数から2進数へ変換できるか問われている問題です。
こういった変換の問題では問題用紙に以下の表をサッと書くといいでしょう。
2進数 | 27 | 26 | 25 | 24 | 23 | 22 | 21 | 20 |
10進数 | 128 | 64 | 32 | 16 | 8 | 4 | 2 | 1 |
問題の「10.0.0.170(10進数)」を2進数に変換すると「00001010.00000000.00000000.10101010」となるので、1の数は6となります。
余談ですが、こういった問題の時は4ビットごとに印をつけるとビットの間違いが減ります。
例 : 0000’1010.0000’0000.0000’0000.1010’1010
c Webサイトの確認
カ : ⑥ドメイン名
キ : ⑧認証局
ク : ⑦電子証明書
そのWebサイトの確認方法として一番簡単なのはドメイン名を確認することです。
例えば、最新のiPadの情報を見たいと思ってappleのサイトを参照しようとした際
https://www.apple.com/ これが正しいサイトですが、フィッシングサイトなどの悪意あるサイトではドメイン名のapple.comがapp-le.comになっていたりすることがあります。
それでもなりすましサイトである可能性が残るので、httpsで接続して、第三者機関である認証局が発行した証明書を確認します。
HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)とは、サーバとクライアント間でデータをやり取りする際に使うプロトコル(通信規約)です。
HTTPSとは、Hyper Text Transfer Protocol 「Secure」のことで、HTTPの通信をセキュア(暗号化して)やり取りするよというものです。(なので、https自体は厳密にはプロトコルではありません。)
HTTPSではSSL(Secure Socket Layer)/TLS(Transport Layer Security)というプロトコルが使われています。SSLがSSL3.0バージョンアップを重ねた後、TLS1.0に名称変更されたのでいまだにSSLと言われたり、SSL/TLSと併記されたりしています。
httpsの仕組みや証明書の確認方法を詳しく知りたい方は以下のサイトなどを参照されるといいと思います。
d インターネット上の情報の取り扱い
ケ : ⑤信憑性
コ : ④情報操作
サ : ⑦更新日時
インターネット上の情報は常に正しい情報とデマ情報両方が行き交っています。
熊本地震の時に「ライオンが逃げた」とデマ情報を流した人が逮捕されたニュースを知っている方も多いかと思います。
常にその情報が正しい情報なのか、考えながら情報を取捨選択する必要があります。
問2
空欄 シ・スセ
シ : 2
スセ : 10
図1では標本化周期が0.01秒、標本の電圧値Vは j−0.5≦V<j+0.5なら段階値jを割り当てるとされています。
段階値の範囲をわかりやすく表すと上図のようになります。
0.02秒では1.5≦V<2.5の範囲にあるので段階値は2となります。
また、図1では段階値が0~3の4値に設定されています。二進法で表すと
段階値 | 21 | 20 |
0 | 0 | 0 |
1 | 0 | 1 |
2 | 1 | 0 |
3 | 1 | 1 |
上表のようになるので、時刻0.02秒における段階値は10(二進法)となります。
空欄 ソ〜ツ
ソ : ⓪時刻0秒と時刻0.01秒の間で電圧がいったん下がった後、上がっていること
タ : ②時刻0.02秒の電圧より時刻0.03秒の電圧の方が低いこと
チ : ①T/2
ツ : ④n+1
図2では、「段階値を0~7に設定した」とあるので、わかりやすく表すと
上図のようになります。標本の数が2倍かつ段階も2倍になっているので、電圧の変化をより詳しく読み取ることができます。
空欄ソ・タについては、図1, 2と解答群をよく見れば正解できます。
標本化周期(サンプリング周期)T[s]は何秒ごとに標本化するかということを表しています。ですので、単位時間あたりの標本の数を2倍にすると標本化周期はT/2(チ)になります。
例 : 1秒に1回標本化していたとしたら、標本化周期T[s]は1です。それを1秒に2回標本化することにしたら0.5秒に1回標本化することになるので、T[s]は0.5になりますね。
また、ツについては図1と図2の段階値を見るとわかりやすいです。
図1で段階値は0, 1, 2, 3の4値となっており、図2では0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7の8値です。
以下に図2の段階値0~7を二進法で表した表を示します。
段階値 | 22 | 21 | 20 |
0 | 0 | 0 | 0 |
1 | 0 | 0 | 1 |
2 | 0 | 1 | 0 |
3 | 0 | 1 | 1 |
4 | 1 | 0 | 0 |
5 | 1 | 0 | 1 |
6 | 1 | 1 | 0 |
7 | 1 | 1 | 1 |
4値を表すには量子化ビット数が2ビット、8値を表すには3ビット必要です。
これより段階値を2倍にすると量子化ビット数はn+1になることがわかりますね。
空欄 テト・ナニ・ヌ
標本化周期と量子化ビット数からデータ量を求める問題です。
空欄テトでは標本化周期が1万分の1秒とあるので、1秒間に1万回標本化が行われます。また、量子化のための段階値が0~4095とあるので、4096段階で量子化することがわかります。4096=212なので12ビットです。
よって1秒間のデータ量は1万×12ビットで12万ビットとなります。
ちなみに、210が1024であることは覚えておきましょう。それ以上の数字は1ビット増えるごとに2倍していけばいいです。
空欄ナニについても、空欄テトと同じように計算しましょう。
標本化周期が4万分の1秒、量子化のための段階値を0~32767すなわち32768値にするとあるので
1秒間に4万回の標本化をしてそれぞれ15ビット(215=32768)で量子化するということです。
よって1秒間のデータ量は4万×15ビットで60万ビットとなります。
空欄ヌについては、空欄テトと空欄ナニが解けていれば正解できるでしょう。
単位時間あたりの標本の数を増やしたり、量子化の段階を増やすことによって、アナログデータをより詳しくデジタルデータに変換できますが、その分同一のデータ量で表現できる時間は短くなります。
補足 AD変換/DA変換
ここで少しAD変換とDA変換について復習しておきましょう。
AD(Analog Digital Converter)変換はその名の通り、アナログデータをデジタルデータに変換することをいいます。DA(Digital Analog Converter)変換も同じくです。
アナログデータ(音声など)→AD変換→デジタルデータ
例 : バンドの演奏→mp3等のデータに
デジタルデータ→DA変換→アナログデータ
例 : mp3等のデータ→再生
今回の問題はAD変換の問題でした。
コメント
H30年度センター入試の問4に関しまして、大学の授業(情報処理演習, 情報科教育法)で、作成して頂いたファイルを活用させて頂き、授業を行いたいのですが、よろしいでしょうか。情報処理演習では少し難しい感じもするので、ファイル内容をやさしくしたり、解説を付け加えたいのですが、よろしいでしょうか。ご検討頂ければ幸いです。
>>鷹岡亮 様
コメントありがとうございます。
はい!ご自由にお使い下さい。
ご連絡ありがとうございました。
ありがとうございます。丁寧に解説も書いて頂けているので、授業内で分からない学生は、このページを参照するように説明したいと思います。助かりました。引き続き、よろしくお願い致します。
今回のセンター試験で情報関係基礎を使うので、細かい解説助かりました!
少しでもお役に立てたなら幸いです!
解説してくださり、本当にありがとうございます😊
今年度の情報関連基礎をうける予定なのですが、
過去問を解く以外に、おすすめの、勉強法はありますか?
情報関係基礎を受験されるのですね!素晴らしい⭐︎
もし、情報関係基礎に時間を割けるのであれば、ITパスポート&基本情報技術者試験の参考書を購入して一周読んで、あとは過去問で分からなかった所を調べる辞書的に使うといいと思います。
大問1,2はITパスポート&基本情報(午前)で一通りカバーできます。
大問3,4は基本情報の午後試験のテキストがオススメです。
おすすめの参考書は
大問3→うかる!基本情報技術者 午後アルゴリズム編
大問4→基本情報技術者らくらく突破表計算
です。
また、選択のおすすめは圧倒的に表計算です。
これは、学習コストを考えたときに表計算の方が時間をかけずに身に付けることができるためです。
頑張ってください!
コメント返信ありがとうございます😊いい点数取れるように精一杯努力します!
基本情報技術者 午後アルゴリズム編かいました!どこをどのように勉強していったら良いのでしょうか?おすすめはありますか?
トレースの練習をするのをおすすめします!
プログラムを読むスピードが格段に速くなりますよ
お時間がありましたら、2016年と2015年分の情報関連基礎の解説お願いします!
記事を見ていただきありがとうございます。
他の方からも要望が来ておりますので、出来るだけ早く作成しますね。
お急ぎでしたら、2016,2015については他のサイトさん(愛知県商業教育研究会等で検索してみて下さい)で解説されている記事がありますのでそちらを参考にされて下さい。
2016年と、2015年の解説もお願い致します!
返信が遅くなってしまいました。すみません。
2016,2015については他のサイトさん(愛知県商業教育研究会等で検索してみて下さい)で解説されている記事が存在したので解説しておりませんでしたが、時間を見つけて記事作成しようと思います!
情報関係基礎対策としてのITパスポートの内、ストラテジ系とマネジメント系よりテクノロジ系を優先して取り組むべきなのでしょうか。
そうですね。テクノロジ系だけで大丈夫です👌
情報会計基礎では、センター試験と共通テストでの差はあるのですか?
そこは気になるところですね!
個人的には、他教科のように大きな変更はないのではないかと予想しています。