情報教育全般センター試験大学入学共通テスト情報処理学会情報関係基礎研究発表解説

情報処理学会で発表してみた「情報関係基礎」解説サイトを運営して

情報教育全般

みなさんこんにちは。先日開催された情報処理学会関西支部の支部大会(2021年9月19日(日)9:00〜18:00)にて、『大学入学共通テスト「情報関係基礎」解説サイトを運営して』というタイトルで発表を行いました。

論文

※7月に提出しているので、少し情報が古いところがあります。

発表内容

はじめに

平成30年告示高等学校学習指導要領で、教科「情報」はこれまでの「情報の科学」「社会と情報」を再編して、全国全ての高校生が同じ内容を学ぶ「情報Ⅰ」と発展の「情報Ⅱ」に編制されました。いよいよ、来年度・令和4年度から実施されます。

これを受けて、国も情報教育に力を入れていくということで、「情報が入試に入るのではないか」という議論が出てきました。

2018年6月の未来投資戦略2018では、大学入学共通テストに「情報」を追加すると閣議決定され、2020年11月には大学入試センターから「情報試作問題(検討用イメージ)」が公表されました。

その後、今年3月には、大学入試センターが2025年以降、現在の6教科30科目に教科情報を追加した7教科21科目に再編すると結論をまとめ、サンプル問題が公表されました。7月には、萩生田大臣が正式決定しました。

現在、これを受けて各大学は受験生にどのような科目を課すか検討中で、11月ごろにも公表される予定となっています。

 

このような流れは、情報科教員としてはとても嬉しく思っていて、下図は文部科学省が3月に出した通知から引用したグラフなのですが、これまで教科「情報」はかなり軽視られてきた歴史があって、臨時免許状や免許外教科担任がいまだに多い教科であります。

– 文部科学省(2021) : 高等学校情報科教員の専門性向上及び 採用・配置の促進について(通知)

 

私も高校生の時は、情報の授業ではエクセルとパワーポイントしかやった記憶がなくて、教科書にはプログラミングとかシミュレーションとか面白そうなことが載っているのに、結構残念だった思い出があります。

もちろん、地域による差が出るのは仕方のないことなのかもしれませんが、専門性の高い教員の採用が進めばいいなと思っています。

・・・

情報が入試に入るというニュースが出てから、SNSをチェックしていると、結構否定的な意見も見受けられます。「情報を紙ベースで試験はできない」や、「エクセルの問題じゃん」といったものが多いように感じます。しかし、これに関してはそんなことないぞと反論したいです。

なぜならば、大学入学共通テストには、「情報関係基礎」という情報に関する科目が設置されていて、1997年から実に24年の歴史と実績があるからです。

さらに、一部の大学では既に独自で情報の入試を実施されている大学もありますし、情報入試研究会が公開している模試、情報処理技術者試験いずれもペーパーベースで実施されているので、PBTでも実施は可能ですし知見も集まっています。

情報関係基礎とは

情報関係基礎は大学入試共通テスト(2020年までは大学入試センター試験)で実施されている科目の一つです。主に専門学科の生徒を対象としていて、「簿記・会計」と並んで「数学②」の枠の中で実施されています。問題構成は上図のようになっています。

まだ問題を見られたことがない方はぜひ、情報処理学会の情報入試委員会さんがアーカイブを公開してくださっているのでぜひご覧ください。

解説サイト立ち上げ理由

私は3年半ほど前から、情報関係基礎の解説記事をインターネット上で公開してきました。もうすぐ4年目になります。

解説サイト立ち上げの理由についてですが、下図は情報関係基礎の受験者数と平均点のグラフです。受験者数をご覧ください。

毎年、全国で大体500人前後の受験者数となっています。令和3年度は、1次日程が344人・2次日程が4人の計348人でした。かなり少ないですよね。このように、受験者が少ないこともあってか、いわゆる赤本のような市販の解説本がありません。

受験対策として過去問を解く場合、理解できない問題があっても、受験生は独学でなんとかするか、あるいは指導できる教員を見つけるしかありません。

ただ、先程 “はじめに” でお示しした通り、情報科は臨時免許や教科外担当が多いという現状で、きちんと指導できる教員を見つけることができない生徒も多いと思われます。

そのため、解説記事を公開すれば受験生の一助となるのではないかと考えました。

解説の公開方法

解説の公開方法は、今回はウェブサイトでブログ記事として公開することにしました。PDF形式や電子書籍も選択肢としてはあるわけですが、ブログ記事であれば、内容の公開・修正がすぐに行えますし、何より質問等のコメントを受け付けることができます。

さらに、補足説明や詳しく知りたい方用の情報は外部サイトへのリンクも貼ることで対応できるのも大きなメリットかなと思います。

記事の作成にあたっては、解説記事ですので、「なぜそうなるのか」を細かく解説することを心がけました。個人的に、手書きの解説は温かみを感じれるのかなと思って、あえて手書きで書いているところも多いです。

また、第3問のプログラムのソースコードを掲載したり、第4問の表計算問題は実際に動くエクセルファイルを作成して配布したりしました。

成果と課題

成果

1つ目の成果として、今年の1月にいただいたコメントをご紹介します。

AKRさんという方からで、解説サイトを活用した対策で高得点が取れて第一志望合格が叶ったというものです。授業で直接教えたことがない方にも届いているというのを実感できたコメントでした。

(AKRさん、もし、この記事をご覧になっていたら、少しお話聞かせていただけませんでしょうか。ご連絡お待ちしております。)

・・・

2つ目の成果としては、大学の授業で教材として使っていただいたことをあげます。

某国立大学の情報処理演習・情報科教育法という授業で、配布していた平成30年の表計算問題のエクセルファイルを教材として使っていただきました。

まさか、大学の授業で使っていただけるとは思っていなかったのでびっくりしました。受験生以外の方にも活用いただけてよかったです。

 

論文用に客観的なデータがあるとよかったのですが、そのようなデータは取れていないので、コメントを成果として紹介させていただきました。

 

また、論文には載せていなかったのですが、大学の授業で活用していただいた時のように、授業の問題演習として情報関係基礎の問題を出題し、わからない部分は「解説サイトを見て補完しろ」というようにすることで、生徒の自主学習にも繋げることができると思います。私は、生徒に自分のSNS等を教えたくなかったので、PDFに変換したりして解説を配ったりしています。

課題

次に課題です。課題は2つあります。

まず1つ目は、受験者がそもそも少ないので訪問者数が少ないという点です。

現在、大体1日に60人程度のアクセスがあるのですが、ずっと赤字状態で運営しているのでなんとかしたいなと思っています。情報入試アーカイブではGoogle siteが使われていていいなと思いました。今後はgoogle siteなどに移行していこうかなと思っています。

・・・

2つ目は、1人で作成しているので、なかなか過去のものにまで遡って記事を作成できない点です。

よくコメントで、◯年のものを解説してください!と来るのですが、なかなか働きながらだと時間が取れなくて後回しになってしまいます。可能であれば、1997年分から作りたいものですが、時間的に現実的ではありません。

おわりに – 今後の展望

今後の展望として、全国の大学の情報入試問題や先生方のオリジナル問題、検定試験の問題などを、解説や正答率などのデータとともに登録できるWebサービスの立ち上げを提案します。

情報関係基礎の問題だけではなくて、各大学の入試問題や、先生方のオリジナル問題もあるといいと思います。(著作権の問題があるので難しいかもと思いますが…)

学習指導要領の分野ごと、大学ごと、定期考査用、小テストようなどに分類できて、観点別評価などにも対応できると尚いいですよね。

先生にとっては、定期考査や小テスト・受験指導に活用できて、生徒にとっては分からない分野の復習や受験対策などに使えるのが理想です。

ユーザー登録をすれば誰でも解説を登録できるようにして、GitHubの用に、後から別の人が解説の訂正や追加などをリクエストできるようになると盛り上がるのではないかと思います。

さらに、最近の生徒たちは、わからない分野はYouTubeなどの動画サイトで検索して、勉強していたりします。

確かに、動画であればアニメーションや音声などでの解説もできるので、時代の流れに乗るという点でも、文字だけの解説ではなく、動画を使った解説なども取り入れていくといいのかもしれません。

今後の解説では動画も作成するか検討中です。

 

tkmium

もし、このような学習支援システムに詳しい方がおられましたら、ぜひ教えていただきたく思います。ご連絡いただけますと嬉しいです。

感想

今回はSNSでお声がけいただき、発表をしてみることにしました。情報処理学会には2年ほど所属していますが、発表したのは今回が初めてになります。

関西支部の大会に福岡県から参加しました。オンライン開催だったからこそ参加できました。

他の発表者さんの発表もいくつか拝見したのですが、教育に関する発表も多く面白かったです。

特に、同じ D:プログラミングおよび情報教育2 分野で発表があった『D-06 電子工作によるものづくり授業を支援するARツールの開発』は、論理回路の授業に応用できそうなので、一番面白かった発表です。現在、私は論理回路の授業では、The Logic Labという論理回路シミュレータで授業をしているのですが、やはり実機でやるのとシミュレータでやるのとでは大きな違いがあるのではないかと考えているので、もし実機でできるなら授業に取り入れたいです。また、私の卒業論文は「拡張現実を用いた採点支援システムの構築と評価」でしたので、ARを用いてあるところも面白かったです。

 

支部大会終了後も、高校の先生から励ましのお言葉をいただいたり、大阪の大学の先生とzoomで情報交換を行ったりして、有意義な日となりました。

私自身の発表は、きちんとした研究発表になっていなくて申し訳なかったのですが、考えや意見を整理でき、また、視野を広げることができたので今後もこのような場には積極的に参加していこうと思います。

ありがとうございました。

tkmium

日本情報科教育学会でもたまに発表しています。

関連リンク

参考文献

コメント

  1. ヒビキ より:

    AKRさんという名前に心当たりがあるなと思って調べてみたら、
    「おいしい数学」の管理人さんの名前がヒットしました。
    管理人さんは数学の講師の方なのでその人本人ではないと思いますが、
    ひょっとしたら、「おいしい数学」のサイトを利用していた
    方がその名前をお借りして投稿したのかもしれませんね。

    • まつしまさんまつしまさん より:

      情報ありがとうございます😊
      数学ではおいしい数学を活用されていたのかもしれませんね。

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